着陸後

そして12:15ごろ、最初の予定から30分以上遅れてようやく到着。外は雨です。思っていたより雨脚は強くないが風が強い。写真は降りた後、撮ったものですがこのようにタラップで降ります。乗客の中でCA、地上係員に遅れたことを問い詰める人はいませんでした。それより早く降りてターミナル内に向かいたかった。

このように、タラップからターミナル内まで屋根付の通路があるわけではありません。地上係員が傘を用意して待っており、皆さんこれを受け取って一目散にターミナルへGO。さらにLCCターミナルは貨物ターミナルの中に作られたため、一般車両が入って来られません。私たちは荷物を受け取ったら10分に1本くるシャトルバスで国内線ターミナルへ移動する必要がありました。なぜ、着陸をやり直したのか?遅れた原因は何か?など問い詰める以前に、さっさと移動したかった。

 

最初から最後まで混乱、危機感ゼロ、とても死に掛けたとは思えない、見ている方は拍子抜けするような一部始終です。

私は国内線ターミナルへ移動して、友人と鉢合わせました。車の中で淡々と「いやーゴーアラウンドしたよー」何事もなかったような話をしていました。その後、19:20那覇発ANA NH136便で羽田へ戻り、今回の旅行は終わりました。

 

そして、私たち乗客がそのとき何が起きていたのかを知ったのは24時間以上経った、翌日のお昼のニュースでした。そのときは驚きでした。さらに翌日のニュース、ワイドショーでさらに真実がわかるにつれ、ようやく恐怖が襲ってきました。

Flightrader24のフライトデータによればゴーアラウンド直前、この画像がそうですが時速200kmで飛んだいたようです。新幹線並です(高度が191mなのはユーザのデータ収集時。)。

いろんな想像が駆け巡る中、浮かんだのがこのピッチの狭さ。普通に飛んでいる認識なので、当然緊急時の姿勢を取っていません。いくらシートベルトをしていても、自動車のようにエアバックはありません。こんな時速200kmで海に堕ちていたら確実に私の体は前の座席に叩きつけられ、木っ端微塵、人間としての原型を留めていたかどうか。今なお身元不明のままだったかもしれません。

 

想像しただけでもよく「生かされた」なと怖さを憶えました。過去に着水事故といえば、2009年1月15日、マンハッタンのハドソン川に不時着水したUSエアウェイズ1549便の別名「ハドソン川の奇跡」が知られています。これはバードストライクによって両エンジンが停止したもの。今回との共通点はA320機というだけで似ても似つかないものです。

 

そういえば上記の映像を見ていたとき、ふと思ったことがあります。それは着水前に乗客が「緊急時の姿勢」を取っていることです。それがどうした?と思うでしょうが、今回の機内ではこの「姿勢」について説明は無かったからです。

 

離陸前はどの旅客機もCAが緊急時の対応についての説明します。救命胴衣や酸素マスクの使い方ですね。大型機ではビデオを使うこともあります。でも今回のA320機のようなモニタのない小型機では身振り手振りを使って「緊急時の姿勢」は説明しているのを見たことがあるでしょうか?。私は緊急時に取る「2つの姿勢」を知っています。それは747、777、340など大型機でビデオを見ていたからです。となると小型機がメインの地方路線、LCCしか搭乗経験の無い方はどうでしょう?いざとなったとき果たして「姿勢」を取る事ができるでしょうか?この説明も必要と思います。

最初は怒りと恐怖でいっぱいだったけど、徐々に冷静になっていろいろ考えることがあります。疑問に感じるのが今回のトラブルが「LCCだから起きた」という論調です。これありえない。レガシー系でも機長が勘違いしたら起こりうることです。レガシー系も機体は1日使いまわしですし。一応、Low Cost Carrierといっても安全面はレガシーと統一なのでこの辺が勝手に解釈されているのが残念。

 

ただし、報告が遅れるということはLCC特有の問題かと思います。実際、今回搭乗したJA802P機は252便のあと、212便として関空へ戻っています。機体の調査が行なわれたのは関空です。機長は那覇の時点で大問題が起きてるという認識はなかったのですから、関空へ戻ってからゴーアラウンドしたことを報告すればよいと思っていたのでしょう。だから隠匿以前の問題。フライトレコーダーの会話が消えてしまうのは当然です。ところが、報告してようやくことの重大さを理解したのだと思います。ピーチ社もビックリ。ちなみにレガシー系は何かあったらいつ報告するのでしょう?

あれから時が経って、報道されることもなくなりました。これからは運輸安全委員会の報告書を待つということになります。過去の事故統計インシデント統計を見てもだいたい最終報告まで1年以上を要しています(こんなに事故・インシデントが起きていたことを初めて知りました)。

 

あのとき、客室起きていたことは私もわかります。乗客が見えないところで何が起きていたのかはわからない。これからもLCCは増え続け、レガシー系も成田・羽田にどんどん就航します。このインシデントが今後にどう活かされるのか注目はしていきたいですね。

 

ちなみに機会があればLCC乗ってみたいです。